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時のかさなり (新潮クレスト・ブックス)


ナンシーヒューストン
¥ 2,415 通常3〜4日以内に発送

時のかさなり (新潮クレス...
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須賀敦子全集 第1巻 (河出文庫)


須賀敦子
¥ 998 通常24時間以内に発送
★★★★★

須賀敦子全集 第1巻 (河...
須賀敦子の文章は癖になる。たまたま「本に読まれて」を手に取る機会があって、その文章の美しさに惚れ込んでしまった。その文業が、すでに文庫版全集になっているとは……。 デビュー作「ミラノ 霧の風景」と第二作「コルシア書店の仲間たち」が1冊になって、単行本未収録の「旅のあいまに」も入っていて、お買い得。 これから須賀敦子を買って読もうという人は、当然、この本から手にすべきです。

見知らぬ場所 (新潮クレスト・ブックス)


ジュンパラヒリ
¥ 2,415 通常24時間以内に発送
★★★★★

見知らぬ場所 (新潮クレス...
短編集「停電の夜に (新潮文庫)」、そして長編「その名にちなんで (新潮クレスト・ブックス)」に続く、ジュンパ・ラヒリの最新作です。短編と連作中篇を集めた一冊で、今年(2007年)7月にフランク・オコナー賞を受賞したとのこと。 ジュンパ・ラヒリの作品は間違いない。そして継続して翻訳を担当してきた小川高義氏の筆遣いも間違いない。私のそうした期待と信頼を全く裏切らない仕上がり具合に、大いに満足しました。 ラヒリの作品ですからもちろん主人公の大半はベンガル系インド人のアメリカ移民二世となります。しかし、本書所収の最初の作品で表題作でもある「見知らぬ場所」は、その「ベンガル系インド人のアメリカ移民二世」の物語であることをことさら感じさせることなく読者をすっと物語世界へいざなっていきます。 妻を亡くした老父をひとり東海岸の街に残し、今は夫と子どもとともに西海岸の街に暮らす娘。核家族や世代間格差、高齢化社会、そして老親の再婚と、舞台が日本であってもさほど違和感のないテーマが散りばめられ、それを小川氏の巧みな翻訳の力によって日本語で読むことが可能になって、この作品は読者の前に普遍的な現...

須賀敦子全集 第2巻 (河出文庫)


須賀敦子
¥ 1,050 通常24時間以内に発送

須賀敦子全集 第2巻 (河...
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記憶に残っていること (新潮クレスト・ブックス 短篇小説ベスト・コレクション)



¥ 1,995 通常24時間以内に発送
★★★★★

記憶に残っていること (新...
新潮クレストブックスが十年間に刊行した短編集のなかから、堀江敏幸が選んだ十篇が収められている。 もともと、短編に豊かな実りの多いクレストブックスの中から、短編の名手が十篇を選びぬくというのだから、面白くないはずがない。 デザート盛り合わせ、いやいや、塩味も辛味も、苦味もあるからデギュスタシオンのような、ぜいたくなひと皿。 アリステア・マクラウドも、ジュンパ・ラヒリも、アンソニー・ドーアも、イーユン・リーも、みんな一冊の中に収まっているなんて夢のようだ。 世界の名人たちの作品には、それぞれ長編なみの深みと味わいがあり、ひとつ読み終えるごとに深い満足を得られる。 堀江氏の解説「人はなにかを失わずになにかを得ることはできない」の最後の一行を読み終えたところで、これはデギュスタシオン、テイスティングなどではなく、世界最高峰のフルコースだったのだなあ、と気づく仕掛けになっている。 手もとにおいて、節目ごとに読み返したい一冊。

【新版】 雑兵たちの戦場 中世の傭兵と奴隷狩り (朝日選書(777))


藤木久志
¥ 1,365 通常24時間以内に発送
★★★★★

【新版】 雑兵たちの戦場 ...
「こんど、家来の角右衛門が日本へ帰るので、テルマとカクセイをお土産に届けさせた。無事に着いただろうか。そのうちコカクセイ一人は娘にやってほ しい。私も戦場で十一歳の子どもを手に入れ(求め)て召し使っているが、ひどい病気もちで困っている。いずれ娘にもテルマを一人、手に入れ(求め)て贈ろう。また拾左衛門尉殿にも下女にでもできそうな子を一人、手に入れ(取り)て、次のお土産にしよう。ただ、いまは加徳カドクという島の暮らしで、食べるのがやっとだから、そのうち手の者をやって、手に入れたら(取り候わば)送りたい・・・。」本書、pp.62-63 これは、外国出張しているお父さんから家を守るお母さんへの手紙の一節である。時は今から400年前、慶長二年(1597)。差出人は、島津家家来で小身の武士、大嶋忠泰。受取人は、国元の妻(内方・宿本)。差出地は、再侵略真っただ中の朝鮮半島の戦場。 この藤木の書は衝撃的な本である。旧版は1995年に出ており、その後新たに確認できた史料を付け加えた新版がこれだ。上記は、朝鮮半島における秀吉軍の奴隷狩り戦争に関するものだが、驚くべきは、これが、日本国内の戦場における...

北村薫の創作表現講義―あなたを読む、わたしを書く (新潮選書)


北村薫
¥ 1,365 通常24時間以内に発送
★★★★★

北村薫の創作表現講義―あな...
大学での講義からの抜粋という形だが、聴講した学生が羨ましくなる内容だ。もともとが話し言葉であるだけに、ひとり突っ込みや、話の脱線、学生とのコール・アンド・レスポンスなどライブ感に溢れているのも楽しい。 この面白さは、@興味の対象と講義の内容が合致している、A座学だけではなく演習が混じっている、Bフィードバックがある、C現役の作家に対する興味、で構成されていると思う。 @は大学の授業だと当たり前のようだが、実際には基礎や一般教養などで必須科目だから受講する場合も多いと思う。Aは耳学問だけの頭でっかちを防ぐ意味でも重要だ、Bは参加意識や、個人的なモチベーションの向上に不可欠、Cは世俗的な興味で、このスパイスにより単調になりがちな講義にアクセントが加わると思う。 このように講義の好例としての意義も深いのだが、一番の収穫は読解や創作の解答に幅を認めているところではないかと思う。これは受験時代とは大きく異なるところだ。 最後の第17章はそれまでとやや趣が異なる。しかし「分かるということ」とその悲劇、そして「読むことが書くことと表裏一体の表現である」という結びは感銘すら覚える結びである...

マチルダは小さな大天才?ロアルド・ダールコレクション (16)


ロアルドダール クェンティンブレイク
¥ 1,470 通常24時間以内に発送
★★★★★

マチルダは小さな大天才?ロ...
マチルダは両親に期待されていない女の子です。 それにも関わらず、才能豊かでした。 ある日、両親への怒りから、物を動かす能力を身につけてしまいます。 その才能を利用して、意地悪をする校長先生とも、両親とも独立し、 校長先生からいじめられていた校長先生の姪の先生と一緒に暮らすことになります。 少し、どぎついところもあるようにも思えますが、 嫌みな感じがしないところが不思議です。 自分が子供からどんな目で見られているか、 子供の能力を伸ばさないような親ではないか、 一度考えながら読んでみると、大人でもおもしろいかもしれません。 あなたは、お子さんのどこを伸ばそうとしていますか? マチルダの両親と、学校の校長先生は、反面教師として、マチルダの才能を伸ばしました。 優しくすることだけが子供の才能を伸ばすのではないという教訓を含んでいるかもしれません。 我が家の娘は、割と本を読むのですが、そんな娘に勧めたところ、「今までで読んだ本の中で、一番面白い!」と、一気に読んでいました! 問題だと思う点が無いわけではありませんが、お薦めです♪マチルダのどんなことにも負けない小さな勇気がカッ...

チョコレート工場の秘密?ロアルド・ダールコレクション (2)


ロアルド・ダール RoaldDahl QuentinBlake
¥ 1,260 通常24時間以内に発送
★★★★

チョコレート工場の秘密?ロ...
ダールコレクション(2)です! 私は話がわりと短い「舌かみ村の牧師さん」から読み始めたんですが・・・・・・ とぉ〜っても面白かったです!英語だと一文字で意味が全然違ってきてしまうので、笑えます。(意味が分からない人は本を読んで下さい。)チョコレート工場の秘密の話に戻って、この話は映画で有名になりました。映画で知った人も多いと思います。映画と違う所見つけるのも楽しいし、勿論、本だけ読んでも十〜〜〜分っ楽しめる事間違いなし!! ロアルド・ダールさんは文章の中に皮肉が入ってる事が多いんですが、逆に私にとっては新鮮で面白かったです。なんか上手く説明出来ないんですが・・ 意地悪な皮肉じゃなく、皮肉すら笑いに変えてしまえる凄さ?(って疑問系にしてど〜すんだ!)後書きでも訳者さんが言ってらっしゃるんですが、ロアルド・ダールさんは言葉遊びをよく使うので、とてもリズムがいいし、面白いです。 英語だとよくわかるのかなぁ?訳している人によって違うんですが、それをくらべるのもいいんじゃないかなぁ〜〜と思います。 まとめると→ まぁよーするにロアルド・ダールさんの作品はとっっっても面白いですよーーーー!!...

海の都の物語―ヴェネツィア共和国の一千年〈下〉 (塩野七生ルネサンス著作集)


塩野七生
¥ 2,100 通常24時間以内に発送
★★★★★

海の都の物語―ヴェネツィア...
私の敬愛する竹田青嗣氏によれば、世の中の価値観は「真・善・美」に集約されるという。 この考えが正しいのであれば、歴史の場合、「善・悪」の価値観で評価するのではなく「真・偽」の価値観で認識すべき「事象」のように思う。 「情」と「理」の対立軸でいうならば、「情」で評価するのではなく、「理」で評価すべきなのではということ。 塩野女史の著書を通読していると、彼女の歴史観というのは、、常に「善・悪」や「情」でなく、「真・偽」及び「理」の視点で認識しようとする姿勢があり、非常に気に入っている。 しかしながら、塩野女史は、「善・悪」で評価はしないものの、「好き・嫌い」で評価しているところは読み手も共感できるところだ。本人も言及している「カエサル」好きはともかく、「ヴェネツィア」に対する彼女の愛情はこの著書を読みながらひししと読者に伝わってくる。 下巻の394ページより、 「栄枯盛衰が歴史の理ならば、せめてこのヴェネツィアのように、優雅に衰えたいものである。そして、ヴェネツィアが優雅に衰えられたのは、ヴェネツィアの死が、病気や試練をいく度も克服してきた末に自然死を迎える人間の、死に似ていた...

海の都の物語―ヴェネツィア共和国の一千年〈上〉 (塩野七生ルネサンス著作集)


塩野七生
¥ 1,995 通常24時間以内に発送
★★★★★

海の都の物語―ヴェネツィア...
以前に「文芸春秋」に、”有力者のえらんだ日本のわかいひとたちにおすすめの歴史書”、みたいな特集があり、トップ3にはいっていたのです。それで初めてよんだのですが。。。 日本とおなじように海洋国で、貿易により繁栄を築いた栄光の国、ヴェネツィアの興亡史。強烈におもしろく、一気に読ませていただきました。 フン族の王アッテイラの攻撃から都の形成、貿易の成功による経済大国としての繁栄、途中でレパントの海戦やコンスタンティノープルの攻防を含む十字軍の戦いのサブストーリイも魅力的で、そして政治・外交能力の低下とともに影響力が下降してついにせめ滅ぼされるまでの壮大な歴史絵巻。 ヴェネツィアの成功の歴史は実に、戦後から近年までの日本と酷似しているのです。国家の原動力は強力な経済の活気であり、そしてともに海洋国家で大海という天然の国境に守られていましたが、ともに同じ運命を歩みかねないのではないか。。。少々心配になります。 日本人の先輩たちがこのくにの未来を背負うこれからのかたがたにぜひよんでほしい、と選んだのは同感で、よくわかります。名著であり、星5つ、絶対のおすすめ歴史モノです。 これまでこ...

パノラマ島綺譚―江戸川乱歩全集〈第2巻〉 (光文社文庫)


江戸川乱歩
¥ 1,050 通常24時間以内に発送
★★★★★

パノラマ島綺譚―江戸川乱歩...
★作品★ 闇に蠢く・・・最後のほうに行けば行くほど旨味が滲み出てくる。よいですよ!!旨味です。 パノラマ島・・・主人公がなぜか武将のようなたくましさのような錯覚に感じてしまう。なぜか織田信長なんです。信念を貫く所や奇抜さが・・・。ラストもグー。 一寸法師・・・トリックと狂喜・・なんといっても一寸法師がなぜか河童を連想させるんですよね私の場合。この時代にしか描けなかった名作ですね!!江戸川乱歩が描く 妖しくも耽美な世界で彩られる 異次元の話を思わせる作品。 「パノラマ島」 怪しげな人物が跋扈し、恐怖が巻き起こる 「一寸法師」 等々乱歩が後々まで指向した 幻惑世界が語られています 本著はポーのアルン・ハイムの地所にインスパイアを受け 執筆されたことは有名ですが内容は本当に濃いです。 発端は金持ちのボンボンに似てる主人公が 死亡したボンボンに成り済ますことから始まります。 主人公の狂気の世界、歪んだ感覚が本作の世界を構築しており、 幻想的でもあり、ドアーズの名曲クリスタル・シップのようで好きです。初期の中・長編が5作収録されているが、僕のおすすめは「一寸法師」後の乱歩作品で幾...

テンペスト―シェイクスピア全集〈8〉 (ちくま文庫)


ウィリアムシェイクスピア WilliamShakespeare 松岡和子
¥ 714 通常24時間以内に発送
★★★★★

テンペスト―シェイクスピア...
身分の高い人間が魔女について魔法を身につけるという話はあまりないと思う。普通は王にはなれない立場の人間が力を手に入れるために魔法を身につけて、世界を制覇しようとするような外に向かっていく物語が多い。この作品でも、流された身の王が復権と復讐のために魔法を身につけるのだが、復讐の仕方がなんかせこい。孤島に誘い込んでゆっくりといたぶるというのは大人げないとも言える。しかもシェイクスピア作品の例に漏れず言動は罵詈雑言、極めて俗物なのである。それを取り巻く魔法遣いの弟子や仇敵達も良い勝負の下品さが全開で、復讐譚の人情話の思い入れがなかなか湧いてこない。 芝居を見物していたのは庶民達だったのか、支配者階級もいたのか分からないが、どちらの立場で見ても爆笑であったことは想像に難くない。しかも物見高い見物人をも「乞食には施さないが、死んだインディアンの見物には金を払う奴ら」と揶揄してしまうところは人気劇作家であったシェイクスピアの真骨頂と言えるのではないだろうか。 訳者の松岡さんも書いている通り、この作品の主人公プロスペローはシェイクスピア自身であると考えられます。 プロスペローはこの話の中で様...

冬の犬 (新潮クレスト・ブックス)


アリステア・マクラウド
¥ 1,995 通常24時間以内に発送
★★★★★

冬の犬 (新潮クレスト・ブ...
アリステスさんはかなりの寡作な方で31年で16篇の短編と1つの長編を出しているだけだそうです。 短編の舞台はほとんどどれも、カナダにある小さな島を舞台にしています。そしてそこに息づく自然と人間と動物、そして起源である先祖のハイランダー、スコットランドについてと、その言葉であるゲール語に重みを置いた小説です。「島」はアリステスさんの中でも完成度が高い短編だと思いますし、好きな話しです。北国の寒い環境と人間の業のようなものと歴史と起源などを織り交ぜた静かだけれど激しい(矛盾した表現なのですが、私にとってはまさに静かだけれど激しいとしか表現しようのない)素晴らしい小説でした。 何故か私にはガルシア=マルケスが思い出されるほどスケールが大きく(もちろん良い意味で)、それでいて小さなささやかなものにも温かみのあるまなざしを向けられているレイモンド・カーヴァーのような(もちろん良い意味です)愛着も感じられるのです。そして人間ではない生き物がどの短編にも重要な役割を与えられていて、動物好きな方にもオススメです。短編好きな方には是非。 好きな作品は表題作子供の頃の犬との思い出がよみがえる「冬...

普請中 青年―森鴎外全集〈2〉 ちくま文庫


森鴎外
¥ 999 通常3〜5週間以内に発送
★★★

普請中 青年―森鴎外全集〈...
ひとことで言えば、 「渡辺参事官がレストランの個室でドイツ女と会う」 というのが、短編「普請中」のあらすじである。 実際、数分程度で読み切れる小品に過ぎないのだが、 ・主人公の苗字が「渡辺」である。 ・彼は職業的にドイツ語を用いている。 ・レストランの個室で食事をする場面がある。 といった要素は、意外に思えるかもしれなくても、 村上春樹の『ノルウェイの森』にそのまま引き継がれている。 (ちなみに、『ノルウェイの森』には、 外交官志望の東大法学部の学生も登場する。) さて、村上春樹という作家には、 一般にそう思われている以上に衒学を好む傾向があるようなので、 (例えば、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』には 参考文献として、ボルヘスの『幻獣事典』が挙げられている) 「究極の恋愛小説」としてベストセラーになった作品が、 実際は鴎外の短編を下敷きにしていたとしてもおかしくはない。 興味を持たれた方は、両方読み比べてみることをお勧めする。

灰燼 かのように―森鴎外全集〈3〉 ちくま文庫


森鴎外
¥ 1,050 通常3〜5週間以内に発送
★★★★

灰燼 かのように―森鴎外全...
この短編集のなかで、私が最も面白かったのは『かのように』だった。歴史学者を目指す華族の青年が、神話と歴史をはっきり区別すべきか悩む話である。現代人にとってはおかしい問題だろう。しかし、明治時代には不可避の問題だったのだ。天孫降臨を基にして、天皇大権体制が維持されていたからである。天照大御神、神武天皇を否定してしまっては、大日本帝国の国体が揺らいでしまうからである。しかし、秀麿は働かなくてもいい、大金持ちの華族なので、歴史の本を書かずに悠々と暮らせばいいのでは、とも思ってしまう。だが、そこが明治の青年の使命感なのだろう。いや、もちろん当時も金だけが大事だという人は沢山いたはずだ。だからこの煩悶は秀麿という優れた男の特権なのである。

ジェローム神父 (ホラー・ドラコニア少女小説集成)


マルキ・ドサド 会田誠
¥ 1,890 通常3〜5週間以内に発送
★★★★★

ジェローム神父 (ホラー・...
澁澤龍彦の作品、翻訳や小説の一編、抄訳でミニ・アンソロジーを組むと聞いて、また手を変え品を変えて見せていると思った。しかし、実物を手にして驚いた。少なくともこの「ジェローム神父」については、美術家会田誠との素晴らしいコラボレーションが成立している。会田の作品の持つエロティスム、残酷性をうまく捕らえて、サド、澁澤とぶつけている。単純な挿絵的マッチングでないところが新鮮だ。 会田はロリコン的美少女と戦争画、原爆など性と社会性のあるモチーフを合わせて取り上げ、時に日本画的構図の中に納め、ある時はマンガの手法もとり、「自殺未遂マシーン」などのインスタレーションを行ったりと多彩な活動を展開している。独特の個性とアクがありながらも、非常にきちんと作品に向かい合う美術家、絵描きだ。それは近日封切られるドキュメンタリー映画『≒会田誠〜無気力大陸〜』(玉利祐助監督)にも、よく現れている。 会田の作品は国際的にも評価が高く人気も上昇中だが、彼のエロティスムに澁澤をということは考えつかなかった。衝撃的な「ジューサーミキサー」「とれたてイクラ丼」から「開きの天日干し」「犬(雪)」など、いずれも傑作揃いで、ミ...

謎とき『罪と罰』 (新潮選書)


江川卓
¥ 1,365 通常24時間以内に発送
★★★★★

謎とき『罪と罰』 (新潮選...
著者はロシア文学翻訳家として知られており、著者の訳でドストエフスキー他、ロシア文学に接した方も多いだろう。私の頃は米川正夫氏だった。その著者が「罪と罰」に仕掛けられた謎を究明するという探求本。その後、「謎とき「カラマーゾフの兄弟」」も上梓している。 正直、一つの作品をここまで深読みできるとは思わなかった。ドストエフスキーの脳の構造が常人離れしており、作品に刻まれた圧倒的な心理描写、行動原理については少しは理解しているつもりだったが、ここまでとはね。著者は作品のテキストを読み込む事によって謎を少しづつ解明して行く。ラスコーリニコフの名前がアンチ・キリストに由来しているくらいなら、まあ少しの研究で分かるかもしれないし、読者が無意識に想定している事と合致する。それよりも被害者の家の敷居を「またぐ」という一般的単語が、「一般社会の倫理の境界を踏み越えて罪の世界に入り込む」という意味の単語から派生している点の指摘などは鋭いと思う。こうした指摘が随所にあり、文学を読む際、原語を理解する重要性を感じさせる。だからと言って、これからロシア語をマスターするのは困難なのだが...。そして、これは単に原...

冥途―内田百けん集成〈3〉 ちくま文庫


内田百けん
¥ 1,103 通常24時間以内に発送
★★★★★

冥途―内田百けん集成〈3〉...
百間の本は昔から読んでいて、ちくまで皆さんにもっと読んでもらえると思って楽しみにしてました。ただ、刊行されると最初は12巻の予定だったのが売れ出してから24巻になり、商業主義がイヤダと思いました。それだけならまだしも、最終巻に、「お詫び」として前期と後期に重複させてしまった作品が二つもあることには筑摩書房の編集者たちに怒りさえ感じました。 刊行する以上はしっかりと全24巻出すと初めから決めておいて、計画を練ってから刊行するのが編集者の仕事ではないのでしょうか。百間の名文がただの商業上の喰いものにされていることは「謹んでお詫び申しあげ」られても許されることではありません。 そういった意味で筑摩書房の編集者たちに対して仕事しろ「馬鹿野郎」と苦苦しく思いました。編集者たちは「お詫び」に辞職して貰いたいと思ってます。 先に「百鬼園随筆」を読んでいたので、へそ曲がりの百鬼園先生が、今度はどんなへその曲がった小説を書いたのだろうと思っていたら、予想が外れた。 夢の世界なのである。本の最後の付けられた芥川龍之介の評によると、「冥途」をはじめとする数編は、漱石の「夢十夜」のように夢の形式をと...

警視庁草紙〈下〉―山田風太郎明治小説全集〈2〉 (ちくま文庫)


山田風太郎
¥ 998 通常24時間以内に発送
★★★★★

警視庁草紙〈下〉―山田風太...
上巻から通しで事件のからくりもさること乍、この下巻は特に人物のひとりひとりが男女問わず恰好いい!(まあまあ‥救いようのないような人もいるけれども)実在の人物が多く出てくるので、誰がいつどこで死んでしまうかわかっている人などには、その恰好良さが切ないことと思います。あと通行人のように有名人が出てくるのもニクいトコロ。「あんたこんなところにいたのか!でも全然注目されてない!(笑)」と。それからこれは、登場人物について調べたくなるので困ります。調べなくてもまったく楽しめるけれど、楽しかったからこそ調べたくなってしまう。とりあえず柴五郎は調べました!川路大警視は論文を書こうとして断念しました…あ、私『るろうに剣心』から斎藤一が気になったクチだけど、この斎藤一も大好きです!(笑)ふっと影のように、人物の前を横切っていく実在の者たち。その顔が明らかになった瞬間、事件の真相がベールのようにはぎとられていく過程。何度も何度も背筋がぞっとする大傑作。山風明治ものにはずれなしだが、そんな中でもこれは最高峰に位置するだろう。ラストに向けての哀感も見事!